毎日、口の中をきれいにするために使っている歯ブラシ。あなたは、その歯ブラシを最後にいつ交換したか、正確に覚えていますか。「まだ使えるから」と、毛先がボロボロになるまで使い続けている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、古い歯ブラシを使い続けることは、歯をきれいにしているつもりが、実は逆に口内環境を悪化させる原因となっているかもしれません。歯ブラシの交換時期は、多くの歯科医師やメーカーが「一ヶ月に一度」を目安として推奨しています。なぜなら、歯ブラシは消耗品であり、使用期間に応じてその機能が著しく低下していくからです。歯ブラシの交換時期を見極めるための、最も分かりやすいサインは「毛先の広がり」です。歯ブラシを裏側(毛のない方)から見て、毛先がヘッドからはみ出して見えるようなら、それは即交換の合図です。毛先が開いた歯ブラシでは、どんなに丁寧に磨いても、毛先が歯の表面や歯と歯茎の境目に的確に当たらず、歯垢(プラーク)を効率的に除去することができません。除去率は、新しい歯ブラシに比べて、六割程度にまで落ち込むとも言われています。また、広がった毛先は、歯茎を不必要に傷つけ、歯肉炎や歯茎の下がる原因にもなり得ます。しかし、毛先が広がっていなくても、交換が必要な場合があります。一見きれいに見えても、使い続けた歯ブラシの毛には、目に見えない無数の傷がつき、弾力性が失われています。コシがなくなった毛先では、歯垢をかき出す力が弱まり、清掃効果は低下します。さらに、衛生面の問題も深刻です。湿気の多い浴室などに保管されがちな歯ブラシは、雑菌の温床です。使い続けるうちに、黄色ブドウ球菌や大腸菌など、様々な細菌が毛束の根元で繁殖していきます。そんな不潔な歯ブラシで歯を磨くことは、口の中に細菌を塗り広げているようなものです。風邪やインフルエンザにかかった後に、歯ブラシを交換することが推奨されるのも、このためです。「一ヶ月」という期間は、あくまで目安です。歯磨きの回数や力の入れ方によっては、もっと早く劣化することもあります。大切なのは、期間と見た目の両方で判断し、定期的に新しいものに交換する習慣を身につけること。それが、効果的なオーラルケアの、最も基本的な第一歩なのです。
あなたの歯ブラシ、いつ交換しましたか?見過ごしがちな交換サイン