歯が痛いのか顎が痛いのか、自分ではさっぱりわからない。そんな不安を抱えて歯科医院の扉を叩いた時、そこでは一体どのような診察が行われるのでしょうか。痛みの原因を正確に突き止めるため、歯科医師は様々な角度から情報を集め、総合的に診断を下していきます。まず、最も重要なのが「問診」です。患者さんからの情報が、診断の最大のヒントとなります。歯科医師は、次のようなことを詳しく尋ねます。「いつから痛みますか」「どんな痛みですか(ズキズキ、ジンジン、ピリッなど)」「どんな時に痛みますか(冷たいもの、噛んだ時、何もしなくてもなど)」「痛み以外に症状はありますか(口が開きにくい、音がする、頭痛など)」「過去に歯の治療や怪我の経験はありますか」。あなたの感じていることを、できるだけ具体的に伝えることが大切です。次に、「視診・触診」が行われます。口の中を直接見て、歯に虫歯や欠損がないか、歯茎に腫れや赤みがないかなどをチェックします。また、疑わしい歯を器具で軽く叩いてみたり(打診)、頬やエラのあたりにある筋肉を指で押して痛みがないかを確認したりします。顎の動きもチェックし、スムーズに開け閉めできるか、途中で引っかかったり、音がしたりしないかを観察します。そして、診断を確定させるために重要なのが「レントゲン検査」です。通常の小さなレントゲン(デンタルエックス線写真)では、個々の歯の状態や、根の先に膿が溜まっていないかなどを詳しく見ることができます。さらに、顎全体を一枚の画像で撮影できる大きなレントゲン(パノラマエックス線写真)では、親知らずの状態や、顎関節の形、上顎洞との位置関係など、より広範囲の情報を得ることができます。場合によっては、顎関節の状態をさらに詳しく調べるために、CT撮影が追加されることもあります。これらの問診、視診・触診、そしてレントゲン検査というステップを踏むことで、歯科医師はパズルのピースを組み合わせるように、あなたの痛みの真の原因を突き止めていくのです。一人で悩まず、専門家の診断に委ねることが、問題解決への最短ルートとなります。
痛みの原因を探る歯科医院での診察の流れ