鏡の前で思いっきり笑ってみてください。その時、上の歯茎が広範囲に見えてしまう場合、あなたは「ガミースマイル」かもしれません。ガミースマイルとは、笑った時に歯茎(gum)が目立つ状態を指す言葉です。そして、このガミースマイルが、実は「歯が小さい」という悩みの本当の原因であるケースが少なくありません。実際には歯の大きさは標準的なのに、過剰な歯茎が歯に覆い被さっているために、相対的に歯が短く、小さく見えてしまっているのです。いわば、美しい絵画が、大きすぎる額縁のせいで窮屈に見えてしまっているような状態です。この原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。骨格的な問題として、上顎の骨が縦に長い、あるいは前方に突出している場合、必然的に歯茎も前に出て見えやすくなります。また、唇を上に引き上げる筋肉(上唇挙筋群)の力が強すぎると、笑った時に唇が必要以上にめくれ上がり、歯茎が露出してしまいます。そして、直接的な原因となるのが、歯茎そのものが厚かったり、歯の生え方によって歯茎が歯を多く覆ってしまっているケースです。これらの原因によって引き起こされるガミースマイルは、見た目のコンプレックスにつながりやすく、上品な笑顔を作りにくい、子供っぽい印象を与えてしまうといった悩みの種となります。しかし、これは治療によって改善することが可能です。特に、歯茎が歯に覆い被さっていることが主な原因である場合、「歯冠長延長術(しかんちょうえんちょうじゅつ)」という外科的な処置が非常に有効です。これは、局所麻酔下で、余分な歯茎や、場合によってはその下にある骨を少しだけ切除し、本来あるべき歯の長さを露出させる手術です。これにより、隠れていた歯の部分が見えるようになり、歯が本来の大きさを取り戻し、バランスの取れた美しい笑顔を手に入れることができます。もし自分の歯が小さい原因が歯茎にあるかもしれないと感じたら、審美歯科や歯周病を専門とする歯科医院に相談してみることをお勧めします。