地震などの災害時や、キャンプなどのアウトドア活動中、水が貴重で、普段通りの衛生環境を保つのが難しい状況に直面することがあります。しかし、そんな時でも、口の中の清潔を保つことは、体全体の健康を維持し、感染症を予防する上で非常に重要です。限られた資源の中で、歯ブラシを少しでも衛生的に使い、口内をケアするための、簡易的な消毒法や工夫を知っておきましょう。まず、水がほとんど使えない状況での歯磨きです。この時に役立つのが、「液体歯磨き」や「マウスウォッシュ」です。これらを少量口に含み、口全体に行き渡らせてから、歯ブラシでブラッシングします。その後、吐き出すだけで、水でのうがいを省略できます。また、歯ブラシ自体も、使用後にこれらの液体に浸して消毒し、ティッシュなどで拭き取っておけば、水洗いするよりも衛生的に保管できます。ウェットティッシュ(できればアルコールフリーのもの)で、歯の表面の汚れを拭き取るだけでも、何もしないよりは格段に良いでしょう。次に、少量の水は使えるが、歯ブラシを十分に洗浄・乾燥させるのが難しい場合です。この時に役立つのが、「塩」や「重曹」です。これらは、保存がきき、持ち運びも容易です。使用後の歯ブラシを、少量の水でゆすいだ後、塩や重曹を直接振りかけ、指で軽く揉み込み、再び軽くゆすぐことで、簡易的な消毒効果が期待できます。また、災害時の備えとして、「キシリトールガム」を常備しておくのも非常に有効です。ガムを噛むことで、唾液の分泌が促進され、口の中の自浄作用が高まります。唾液には、抗菌作用や、酸を中和する働きがあり、虫歯予防に役立ちます。キシリトールは、虫歯菌の活動を抑制する効果もあるため、一石二鳥です。そして、何よりも重要なのが、このような非常事態に備えて、予備の新しい歯ブラシを、防災グッズの中に数本入れておくことです。どんな消毒法も、清潔な新しい歯ブラシには敵いません。水が復旧し、普段通りの生活に戻れるようになったら、それまで使っていた歯ブラシは廃棄し、すぐに新しいものに交換しましょう。困難な状況下でも、少しの知識と工夫で、口の健康を守ることは可能です。
災害時やアウトドアで役立つ!歯ブラシの簡易消毒と節水歯磨き