歯の治療で麻酔を使った後、「このまま車を運転して帰っても大丈夫だろうか」「仕事に戻っても平気だろうか」と、その後の行動について気になる方も多いでしょう。歯科治療で用いられる「局所麻酔」は、その作用が注射した部分とその周辺に限られるため、基本的には、その後の行動に大きな制限はありません。しかし、いくつかの点については、注意が必要です。まず、「自動車や自転車の運転」についてです。歯科の局所麻酔は、全身麻酔とは異なり、意識レベルや判断能力に直接影響を与えるものではありません。したがって、法律的にも、治療直後に運転すること自体は問題ありません。しかし、考慮すべきは「麻酔による不快感」や「治療後の痛み」が、運転中の集中力を妨げる可能性です。麻酔で口元が痺れている違和感や、麻酔が切れかけた時の痛みに気を取られて、注意が散漫になることは十分に考えられます。また、親知らずの抜歯など、侵襲の大きな治療を受けた後は、気分が悪くなったり、体力を消耗したりすることもあります。そのため、歯科医院では、安全を第一に考え、「可能であれば、当日の運転は控えるか、少し休憩してからにしてください」とアドバイスすることが多いです。特に、ご自身で少しでも不安を感じる場合は、公共交通機関を利用するか、家族に送迎を頼むのが最も賢明です。次に、「仕事」や「学校」についてです。これも、運転と同様に、基本的には問題ありません。通常の虫歯治療であれば、治療後にそのまま仕事に戻る方も多くいます。ただし、抜歯などの外科処置を受けた場合は、話が別です。治療当日は、血行が良くなるような激しい運動や、長時間の入浴、飲酒は、出血や痛みの増強につながるため、避けるべきです。力仕事や、人前で話すことが多い職業の方は、痛みや腫れによって、業務に支障が出る可能性も考慮しておく必要があります。治療後の行動については、自己判断せず、治療内容に応じて歯科医師から受ける指示をしっかりと守ることが大切です。もし、治療後の予定について心配なことがあれば、治療前に歯科医師に相談し、スケジュールを調整しておくのが良いでしょう。
麻酔後の運転は大丈夫?治療後の行動制限について