風邪やインフルエンザ、あるいは新型コロナウイルス感染症などにかかった後、体調は回復したのに、またすぐに体調を崩してしまった。そんな経験はありませんか。その原因は、もしかすると、あなたが毎日使っている「歯ブラシ」にあるかもしれません。病気の後に歯ブラシを交換することは、再感染や、家族への感染拡大を防ぐ上で、非常に重要な衛生管理の一環です。私たちの口の中には、常時、数百種類もの細菌が生息しています。健康な時は、これらの細菌と体の免疫力がバランスを保っていますが、風邪などで体調を崩すと、特定のウイルスや細菌が優勢になり、口の中でも増殖します。そして、そのウイルスや細菌は、歯磨きの際に、当然ながら歯ブラシにも付着します。歯ブラシの毛束は、湿気が多く、構造も複雑なため、ウイルスや細菌にとっては、格好の隠れ家となります。特に、インフルエンザウイルスなどは、歯ブラシの表面で数日間生存することができると言われています。体調が回復した後も、病原体が付着したままの古い歯ブラシを使い続けると、どうなるでしょうか。せっかく自分の免疫力でウイルスを撃退したのに、歯ブラシから再び自分の口の中にウイルスを取り込んでしまう「自家感染」のリスクが生じます。また、家族と同じ歯ブラシスタンドを使っている場合、歯ブラシ同士が接触することで、他の家族にウイルスをうつしてしまう「家庭内感染」の原因にもなり得ます。これらのリスクを断ち切るために、感染症から回復したら、使っていた歯ブラシは、たとえ新しくても、迷わず廃棄し、新品に交換することを強くお勧めします。これは、あなた自身の健康を守るためだけでなく、大切な家族の健康を守るためにも、非常に効果的な予防策です。同様の理由で、口内炎がひどい時や、ヘルペスなどの口唇の感染症にかかった後も、歯ブラシを交換するのが賢明です。歯ブラシは、口の中の健康を維持するためのツールですが、一歩間違えれば、病気を媒介するツールにもなり得ます。病後の歯ブラシ交換。これを新しい健康習慣として、ぜひ今日から取り入れてみてください。