食事中に歯に物が挟まった時の、あの不快感。一刻も早く取り除きたい一心で、つい手近なもので無理やり取ろうとしていませんか。しかし、その何気ない行為が、実はあなたの歯や歯茎を深刻なダメージに導いているかもしれません。良かれと思ってやっている対処法が、実は絶対にやってはいけないNG行為である可能性が高いのです。最もやりがちで、最も危険なのが「爪楊枝(つまようじ)の使用」です。爪楊枝の先端は、歯と歯のあいだのデリケートな隙間に対しては、あまりにも太く、鋭すぎます。無理にこじ開けるように使うと、歯茎を突き刺して傷つけ、出血や炎症の原因となります。また、日常的に同じ場所で使い続けると、歯と歯のあいだの歯茎(歯間乳頭)が圧迫されて下がり、隙間がさらに広がって、もっと物が挟まりやすくなるという悪循環を招きます。さらに、爪楊枝の先端が折れて歯茎に刺さってしまうという、思わぬ事故につながることもあります。爪楊枝と同様に危険なのが、「安全ピン」や「クリップの先」など、金属製の鋭利なものでほじくり出す行為です。これは、歯の表面のエナメル質を傷つけ、そこから虫歯菌が侵入するきっかけを作ってしまいます。歯茎を傷つけるリスクも非常に高く、論外の行為と言えるでしょう。また、意外と見落としがちなのが「歯ブラシでのゴシゴシ磨き」です。挟まったものをかき出そうと、歯ブラシで力任せに磨く方がいますが、これも歯茎を傷つけ、歯の根元をすり減らす「楔状欠損(くさびじょうけっそん)」の原因となります。歯ブラシは、歯の表面の汚れを落とすためのものであり、歯と歯のあいだの固形物を除去するのには向いていません。これらのNG行為は、一時的に物が取れてスッキリするかもしれませんが、長い目で見れば、歯や歯茎にダメージを与え、問題をさらに深刻化させるだけです。その場しのぎの間違った対処法に頼るのではなく、歯と歯茎に優しい、正しい器具を使った対処法を身につけることが、あなたの口腔健康を守る上で何よりも重要になります。
やってはいけない!歯に物が挟まった時のNG対処法