歯の治療で麻酔を使った後、多くの人が不安に思うのが、「麻酔が切れた後の痛みは、いつまで続くのだろうか」という点です。治療内容によって、痛みの程度や持続期間は大きく異なりますが、一般的な経過を知っておくことで、過度な不安を抱くことなく、冷静に対処することができます。まず、最も痛みが少ない、あるいはほとんどないのが、「軽度な虫歯の治療」です。歯を少し削って、レジン(白い詰め物)を詰めるような治療の場合、麻酔が切れても、痛みが出ることは稀です。もし、少ししみるような感じがあっても、通常は一日か二日で治まります。次に、「神経に近い深い虫歯の治療」や「神経を抜く治療(根管治療)」の場合。これらの治療では、歯に与える刺激が大きくなるため、麻酔が切れた後に、ズキズキとした痛みが出ることがあります。処方された痛み止めを服用すれば、コントロールできる範囲の痛みが、通常は二日から三日程度続く可能性があります。特に、噛んだ時に響くような痛みがしばらく残ることがありますが、これは治療による一時的な炎症反応であり、徐々に軽快していくのが一般的です。そして、最も痛みが強く、長引きやすいのが「抜歯」、特に、骨を削るような「難抜歯(親知らずなど)」の場合です。抜歯は、骨に穴が開いている状態なので、強い痛みが伴うのは当然と言えます。痛みのピークは、抜歯当日の夜から翌日にかけてで、この間は処方された痛み止めを時間通りに服用することが非常に重要です。強い痛みは、通常、二日から三日でおさまりますが、その後も、鈍い痛みや違和感が一週間程度続くこともあります。腫れのピークは、術後四十八時間から七十二時間頃に現れ、これも一週間ほどかけて徐々に引いていきます。注意すべきは、「痛みが日を追うごとに強くなる」場合です。通常、痛みは日を追うごとに軽快していくのが正常な経過です。もし、三日目以降になっても痛みが一向に引かない、むしろ強くなっているという場合は、「ドライソケット」などの治癒不全や、感染を起こしている可能性があります。このような場合は、我慢せずに、必ず治療を受けた歯科医院に連絡し、診察を受けるようにしてください。