歯ぎしりの治療でマウスピースを作成したいと考えた時、多くの方が気になるのがその費用でしょう。「オーダーメイドだから高額なのでは?」と心配されるかもしれませんが、ご安心ください。歯科医院で歯ぎしりや顎関節症の治療を目的として作成するマウスピースは、原則として健康保険が適用されます。これにより、患者さんの自己負担額は、一般的に五千円前後に抑えることができます。これは、歯ぎしりが単なる癖ではなく、歯や顎の健康を損なう「病気」として認識されており、その治療に必要な装置であると国が認めているからです。保険適用でマウスピースを作成する場合の、一般的な流れを見てみましょう。まず、初診時には、問診や口腔内の診察、レントゲン撮影などが行われ、歯ぎしりの状態や顎関節、噛み合わせの問題などを総合的に診断します。この診断に基づき、マウスピース治療が適当であると判断されると、治療計画の説明が行われます。患者さんが同意すれば、次にマウスピースの型取りを行います。精密な歯型を採取し、歯科技工所へ製作を依頼します。そして、約一週間から十日後、完成したマウスピースを実際に装着し、噛み合わせの調整を行います。歯科医師が、高さをチェックしたり、きつすぎないか、緩すぎないかを確認したりと、細かな調整を加えて完成となります。この一連の流れにかかる費用は、三割負担の場合、初診料や検査料、型取り、そしてマウスピース本体の料金と調整料を全て含めても、おおよそ五千円から七千円程度が目安となります。ただし、注意点もあります。保険が適用されるのは、あくまで治療目的の場合です。例えば、スポーツ用のマウスガードや、審美目的のホワイトニング用マウスピースなどは、保険適用外の自費診療となります。また、歯科医院によっては、より精密で審美性に優れた材質のマウスピースを自費診療で提供している場合もあります。まずは歯科医院に相談し、ご自身の症状が保険適用の対象となるか、そして具体的な費用はいくらになるのかを、事前に確認しておくことが大切です。
歯ぎしり用マウスピースの作成費用と保険適用の話