歯の着色汚れを自分で何とかしようと、様々なセルフケアを試してみたけれど、思うような効果が出ない。それどころか、なんだか歯の表面がザラザラしてきたような気もする。そんな風に感じているなら、それはセルフケアの「限界」に達しているサインかもしれません。そして、そんな時こそ、歯科医院で行われる「プロフェッショナルケア」の出番です。セルフケアとプロのクリーニングには、その目的と効果において、越えられない壁が存在します。セルフケアの目的は、あくまで「日々の汚れを蓄積させない」ための予防です。毎日の食事で付着する軽度なステインや歯垢を除去することはできますが、長年にわたって蓄積された頑固なステインや、硬く石灰化した歯石を、自分で安全に除去することは不可能です。無理に硬いものでこすれば、歯を傷つけるだけです。一方、歯科医院で行われるプロのクリーニング(PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、セルフケアでは絶対に届かない領域の汚れまで、徹底的に除去することを目的としています。歯科医師や歯科衛生士は、専門的な知識と技術、そして特殊な機器を駆使します。まず、超音波の振動で歯石を粉砕する「超音波スケーラー」や、手用の「ハンドスケーラー」を使い、歯周ポケットの奥深くにこびりついた歯石まで、丁寧に取り除きます。その後、回転するブラシやカップに、フッ素が配合された研磨ペーストをつけ、歯の表面をツルツルに磨き上げていきます。これにより、ステインが除去されるだけでなく、歯の表面が滑らかになることで、新たな汚れが付着しにくい状態を作り出すのです。さらに、ジェット噴流で微細なパウダーを歯に吹き付け、タバコのヤニなどの頑固な着色を強力に除去する方法(エアフロー)もあります。治療後の歯は、見違えるように白く輝き、舌で触るとツルツル、スベスベになっているのを実感できるでしょう。この爽快感と確実な効果は、プロのクリーニングでしか得られないものです。セルフケアで頑張ることも大切ですが、半年に一度はプロの力を借りて、口の中を一度リセットする。それが、美しく健康な歯を維持するための、最も賢明な選択なのです。