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なぜかいつも同じ場所に物が挟まる…考えられる口の中の問題
食事のたびに、なぜかいつも同じ歯と歯のあいだに物が挟まる。これは、単なる偶然ではありません。その場所には、食べ物が挟まりやすくなる「構造的な問題」が潜んでいる可能性が非常に高いのです。その原因を突き止め、根本的に解決しなければ、不快な思いをし続けるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクを放置することになってしまいます。いつも同じ場所に物が挟まる原因として、まず考えられるのが「不適切な詰め物・被せ物」の存在です。過去に治療した銀歯やセラミックが、隣の歯との接触具合(コンタクト)が緩かったり、形が不自然で隙間ができていたりすると、そこが食べ物のトラップになってしまいます。また、詰め物と歯のあいだに段差がある場合も、繊維などが引っかかりやすくなります。この場合、詰め物や被せ物を適切な形のものに作り直すことで、劇的に改善することがあります。次に、疑われるのが「歯と歯のあいだの虫歯(隣接面カリエス)」です。歯と歯のあいだが虫歯になると、歯の表面に穴が空き、そこに食べ物がすっぽりと収まってしまいます。外からは見えにくいため、本人は気づいておらず、「よく物が挟まるな」と感じているだけ、というケースが少なくありません。レントゲン検査などで虫歯が見つかった場合は、当然ながら、その虫歯を治療することが根本的な解決策となります。また、「歯周病の進行」も大きな原因です。歯周病によって歯を支える骨が溶け、歯茎が下がってしまうと、歯の根元に食べ物が挟まりやすい隙間ができます。さらに、歯周病が進行すると、歯が少しずつ動いたり、傾いたりして、歯と歯のあいだの隙間がさらに大きくなることもあります。この場合は、歯周病の治療を進め、歯茎の状態を改善させることが必要です。その他、歯並びそのものに問題があり、歯が重なり合っている部分なども、物が挟まりやすいウィークポイントとなります。いずれにせよ、「いつも同じ場所に物が挟まる」という症状は、口の中からの重要なSOSサインです。そのサインを無視せず、歯科医院で原因を特定してもらい、適切な治療を受けることが、将来の大きなトラブルを防ぐことにつながるのです。