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子供の歯こそフロスが重要!仕上げ磨きの新常識
「子供の歯はどうせ生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」。これは、非常によくある、そして最も危険な誤解の一つです。乳歯の健康は、その後に生えてくる永久歯の歯並びや歯質、そして将来の口腔ケアの習慣を形成する上で、極めて重要な役割を果たします。そして、その大切な乳歯を虫歯から守る上で、多くの親御さんが見落としがちなのが、「歯と歯のあいだのケア」、つまりデンタルフロスの使用です。子供の歯、特に乳歯の奥歯(乳臼歯)は、大人と比べて形がずんぐりとしており、歯と歯が面で広く接触しています。この接触面積の広さが、食べカスや歯垢を非常に溜め込みやすくし、歯ブラシだけでは絶対に除去できない汚れの温床となるのです。実際に、子供の虫歯の多くは、この歯と歯のあいだや、奥歯の溝から発生します。仕上げ磨きを毎日しっかり行っているつもりでも、歯の表面しか磨けておらず、肝心の歯間には手つかずのプラークが残っている、というケースは少なくありません。では、いつからフロスを始めれば良いのでしょうか。その目安は、「奥歯の乳歯が生えそろい、歯と歯が隣り合うようになった時」です。個人差はありますが、おおよそ二歳半から三歳頃がスタートのタイミングとなります。子供にフロスを使う際は、指に巻きつけるロールタイプは難易度が高いため、持ち手のついた「ホルダータイプ」のフロスが断然お勧めです。子供向けの、小さくてカラフルなデザインのものも市販されています。使い方のコツは、子供を膝の上に寝かせ、口の中がよく見える体勢で行うことです。そして、フロスを歯と歯のあいだにゆっくりと、のこぎりを引くように挿入し、それぞれの歯の側面に沿わせて、優しく上下に数回動かして汚れをかき出します。決して力を入れすぎず、歯茎を傷つけないように注意しましょう。最初は嫌がるかもしれませんが、これも歯磨きの一部なのだと根気強く教え、毎日の習慣にしていくことが大切です。「歯ブラシだけでは、歯磨きは半分しか終わっていない」。この新しい常識を、ぜひ今日からの仕上げ磨きに取り入れて、お子さんの大切な歯を、見えない敵である歯と歯のあいだの虫歯から守ってあげてください。