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デンタルフロスを使った後、そのフロスの臭いをかいでみて、「うわっ、臭い！」と顔をしかめた経験はありませんか。ドブのような、あるいは卵が腐ったような不快な臭い。それは、あなたの歯と歯のあいだに、大量の「汚れ」と「細菌」が溜まっていることを示す、極めて分かりやすい危険信号です。この臭いの正体は、主に「プラーク（歯垢）」と、それが生み出す「揮発性硫黄化合物（VSC）」です。プラークは、単なる食べ物のカスではありません。それは、細菌とその代謝物、そして食べカスなどが混じり合った、細菌の塊です。わずか1プラーク中には、億単位の細菌が生息していると言われています。そして、この細菌、特に歯周病の原因となる嫌気性菌は、タンパク質（剥がれ落ちた粘膜や食べ物に含まれるアミノ酸など）を分解する過程で、硫化水素やメチルメルカプタンといった、強い悪臭を放つガス、すなわち揮発性硫黄化合物を産生します。これが、フロスが臭くなる直接的な原因であり、口臭の主な原因物質でもあります。フロスが特に臭うということは、歯ブラシだけでは全く清掃できていない歯と歯のあいだに、これらの細菌が大量に繁殖し、不衛生な状態が長期間続いている証拠です。この状態を放置すれば、口臭がひどくなるだけでなく、様々なトラブルを引き起こします。まず、細菌が作り出す酸によって、歯と歯のあいだに虫歯ができます。同時に、細菌が出す毒素によって、歯茎に炎症が起こり、歯肉炎や歯周病が進行します。歯周病が進行すれば、歯を支える骨が溶け、最終的には歯を失うことにもなりかねません。つまり、フロスの臭いは、あなたの口の中が「虫歯と歯周病の温床」になっていることを、雄弁に物語っているのです。しかし、悲観する必要はありません。この臭いは、あなたのセルフケア次第で、必ず改善することができます。毎日、丁寧にフロスを使い、歯と歯のあいだのプラークを徹底的に除去し続けること。最初は臭くても、根気強くケアを続けることで、数週間後にはフロスの臭いがほとんどしなくなっていることに気づくはずです。それは、あなたの口内環境が劇的に改善された証なのです。