歯の治療が終わり、麻酔が効いて唇や頬が痺れている状態。お腹は空いているけれど、「食事をしても大丈夫だろうか」と迷いますよね。結論から言うと、麻酔が完全に切れるまでの食事は、原則として「控えるべき」です。感覚が麻痺している状態での食事には、思わぬ怪我やトラブルのリスクが潜んでいるからです。麻酔が効いている間に食事をしてはいけない、最も大きな理由。それは、「口腔内を火傷したり、傷つけたりする危険性」です。普段、私たちは唇や舌、頬の感覚を頼りに、食べ物の温度を判断したり、誤って自分の粘膜を噛まないように、絶妙にコントロールしながら食事をしています。しかし、麻酔が効いていると、この重要なセンサーが完全にオフになっている状態です。熱いスープや飲み物を、熱いと感じることなく口に含んでしまい、気づいた時には口の中が大火傷、という事態になりかねません。また、感覚がないため、自分の唇や頬の内側を、食べ物と一緒にガリッと強く噛んでしまう「咬傷(こうしょう)」のリスクが非常に高くなります。麻酔が切れてから、口の中に大きな口内炎や血豆ができて、治療した歯とは別の痛みで数日間苦しむ、というケースは後を絶ちません。特に、お子さんの治療後は、保護者の方の注意が不可欠です。どうしてもお腹が空いて我慢できない場合は、いくつかの点に注意が必要です。まず、食べ物は「固形物を避け、流動食に近いもの」を選びましょう。ヨーグルトやゼリー、プリン、スープ(必ず人肌以下に冷ますこと)、スムージーなどが適しています。そして、麻酔が効いている側とは「反対側」で、ゆっくりと、慎重に食べるようにします。熱いものは絶対に避け、常温以下のものに限定してください。飲み物も同様です。一番安全なのは、やはり麻酔が完全に切れて、唇や舌の感覚が完全に戻ってから食事をすることです。治療後の数時間の我慢が、余計な怪我や痛みを防ぎます。歯科医師から「麻酔が切れるまで、お食事は控えてくださいね」と言われるのには、ちゃんとした理由があるのです。
麻酔が効いている間の食事、絶対にしてはいけないこと