歯ぎしり治療のために、意を決してマウスピースを作ったものの、いざ装着してみると、口の中の異物感や圧迫感に、「こんなものを着けて眠れるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。この最初の違和感は、治療を継続できるかどうかを左右する、一つの大きなハードルです。しかし、ご安心ください。この違和感は、ほとんどの場合、時間と共に薄れていき、やがて体の一部のように馴染んでいきます。一般的に、マウスピースに慣れるまでの期間は、個人差はありますが、おおよそ一週間から二週間程度と言われています。最初の二、三日は、特に違和感が強く、気になってなかなか寝付けなかったり、夜中に無意識に外してしまったりすることもあるかもしれません。また、唾液の分泌量が増えたり、朝起きた時に歯が締め付けられるような軽い痛みを感じたりすることもあります。これらは、体が新しい環境に適応しようとしている過程で起こる、正常な反応です。この最初のハードルを乗り越えるためには、いくつかのコツがあります。まず、焦らず、短時間から試してみることです。初日から朝まで装着するのが辛ければ、寝る前の一時間か二時間だけ着けてみることから始めてみましょう。テレビを見ている間や、読書をしている間に装着し、口の中がマウスピースの存在に慣れる時間を作るのです。そして、少しずつ装着時間を延ばしていきましょう。また、装着前にマウスピースを水で少し濡らすと、滑りが良くなり、装着しやすくなります。重要なのは、「痛みが強い」「明らかに噛み合わせがおかしい」と感じた場合は、我慢しないことです。それは単なる違和感ではなく、マウスピースの調整が必要なサインかもしれません。無理に使用を続けると、かえって歯や顎を痛めてしまう可能性があります。その場合は、すぐに歯科医院に連絡し、再調整を依頼してください。歯科医師は、ほんの少し削るだけで、劇的に装着感を改善させることができます。最初の違和感は、新しい靴を履き始めた時の靴擦れのようなものです。少しの辛抱と適切な調整で、必ずあなたの足(口)にフィットする、頼もしいパートナーとなってくれるはずです。